青空は不吉
- 2016.07.25 Monday
- 09:31
最近長く電車に乗ることが多かった分、文庫を多めに読んだ。
田辺聖子の『おちくぼ姫』と北欧ミステリーの『偽りの楽園』は、ほぼ電車の中で読み終えた。どちらも読みやすいうえに続きが気になってどんどんすすむから、自分にとっての電車読書にはぴったりだったなあ。
しかし何よりミルハウザーの『エドウィン・マルハウス』のすごさ!!
単行本は迷って結局買わずじまいだったので、この度の文庫化をきっかけに読んでみた。長いからどうかなと思ったけど、あっという間にはまってしまう。
さびれた遊園地とか雑貨屋とかの細かい描写がたまらなく良くて、でも読み進めていくうちにその描写の隙間に不穏さが見えてくる。キラキラしたものと不穏さが決して裏表ではなく、同時に同じ熱量で存在している感じがすごい。特に最後の方の澄んだ青空の不吉さには鳥肌がたった。